萩原隆税理士事務所

相続時精算課税とは? 相続税の基本知識と対策

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相続時精算課税とは? 相続税の基本知識と対策

相続時精算課税とは? 相続税の基本知識と対策

2023/10/23

相続というと、多額の税金を支払わなければならないことがあります。特に、遺産が多額である場合は相続税の額も高額になり、財産の評価額や相続人の続柄によっても税額は異なります。そんな中で相続税の負担を軽減する方法の1つに相続時精算課税があります。この制度についての基本知識と有効な対策について解説します。

目次

    相続税の基本知識

    相続税は、相続財産を受け取った場合に課税される税金です。相続財産とは、故人が亡くなる前に所有していた財産のことで、相続税の税率は、相続財産の価額が多いと税率も高くなる累進課税となってます。また、相続によって相続税の申告と納税が必要な場合は、相続が開始した日(通常はお亡くなりになった日)から10か月が申告期限になりますので期限内に申告書の提出と納税が必要となります。 相続税については、相続人の方が自己申告する必要があり、相続税が課税される相続財産に不動産や株式などの財産がある場合は、財産額を評価する必要があります。相続人が相続財産を受け取った場合、相続税を支払う必要があるため、税理士のアドバイスを受けることが大切です。 相続税の基本知識を身につけることで、相続におけるトラブルを未然に防ぐことができるほか、遺産分割をスムーズに行えたり、相続税課税対象となる財産の適切な管理や引き継ぎを行うことができます。税理士から正確で信頼性のある情報を得ることで、相続税に関するトラブルを回避することができます。

    相続税と贈与税

    贈与税とは、財産をもらった時に課税される税金になります。相続税との違いは、相続税は死亡したことにより財産を取得したときに課税されるのに対し、贈与税は財産を渡す者(贈与者)が生前に行う行為であることで、財産を受け取る者(受贈者)には特に制限はありません。

    贈与税は相続税の補完税の役割をしています。どういうことかと言いますと、もしも、相続税のみで贈与税がなかったとしたら、生前に財産をどんどん移せば、相続税がかからないこととなり、相続税の意味がなくなるため、それを防止するために贈与税が存在しています。

    一般的に贈与税は相続税よりも税負担が高いと言われています。相続税と贈与税の最高税率はともに55%ですが、相続税で最高税率の55%が適用されるのは相続財産の価額が6億円超の場合で、一方、贈与税で最高税率の55%が適用されるのは贈与財産の価額が4,000万円超となります。また、贈与税は相続税に比べて、取得した財産額が同じでも税率が高くなっています。

    贈与は相続税の節税対策として行われることが多くあり、その際も贈与する財産や価額、誰に贈与するかなどをよく検討し、計画的に行う必要があると言えます。

    贈与税の暦年課税と相続時精算課税

    贈与税の課税には、暦年課税と相続時精算課税の2種類があります。暦年課税というのは一般的な課税で1年間にもらった財産額から基礎控除額110万円を控除した額に課税されます。課税額に応じて税率が定められており、高額になるほど税率も高くなります。一方の相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度で、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて算出します。この制度を適用するためには選択届の提出が必要で、選択届を提出した場合は、相続時精算課税に係る贈与者から贈与を受けた財産については、相続時精算課税による申告が必要となります。

    相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。

    その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。

    なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額とされています。

    相続時精算課税はメリットとデメリットがあるため、相続税対策として利用する場合は、十分に検討する必要があります。

    相続税・贈与税の改正

    贈与税は相続税対策として用いられることが多くありますが、相続税を計算する際には相続開始から3年以内の贈与は相続財産に加算して計算することが規定されています。この3年以内の贈与加算について、令和5年に改正がされました。改正前は加算期間が3年でしたが、改正後は加算期間が7年に拡大されることとなりました。改正前は加算される期間が3年であったため、3年を超える贈与は相続財産に加算しないことから相続税の節税対策として一定の効果がありましたが、改正後の7年では今までよりも節税対策としての効果は薄れることとなります。この改正後の適用は令和6年1月1日以降の贈与について適用されることとなり、3年後の令和9年1月1日以降の相続から順次加算期間が延長されることとなります。具体的に次のとおりです。

    令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間の相続は、相続開始前3年の贈与加算

    令和9年1月1日から令和12年12月31日までの間の相続は、令和6年1月1日から相続開始日までの間の贈与を加算

    令和13年1月1日以降の相続は、相続開始7年の贈与加算

    相続時精算課税も改正があり、相続時精算課税は先に述べましたとおり、特別控除額2,500万円(限度額)までは課税されず、2,500万円を超えた部分に一律20%で課税されるもので、暦年課税のように基礎控除額110万円が存在しませんでしたが、この改正により暦年課税と同様に基礎控除額110万円が適用できるようになりました。この相続時精算課税の基礎控除額110万円は暦年課税の基礎控除額とは別途措置とされていますので、例えば、相続時精算課税と暦年課税がある者は、それぞれから基礎控除額110万円を控除することが可能です。また、相続時精算課税の基礎控除額110万円部分に対する贈与は相続時に贈与加算する必要はないため、従来よりも適用しやすいように改正がされました。

    相続税対策として贈与を行う場合は、贈与する財産の種類や贈与者の年齢などを考慮して、十分に検討した上で行わないと思うような節税効果が得られないと結果になる場合がありますのでご注意ください。

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